
を高めていくべきであろう。 生徒の安全意識については、「準備運動を必ずやっている」と答える生徒が増加し、学校や指導者自身の健康・安全の意識の変化から生徒にも徐々に浸透してきているあらわれであるといえよう。しかし、未だ「やらない」という生徒が2割近くいる。中学生の時期は、身体は著しく成長し変化していく。そのため活動前の準備運動は、事故や障害予防のためにも、本運動の補強としても必要不可欠なものであることを今まで以上に指導していく必要があるだろう。それは整理運動においても同様である。 また、活動中の生徒の意識においては、「無理な練習はしない」「体調が悪いときは練習しない」が減少傾向にあり、多少無理をしてでも活動する生徒が増えてきている。「特に気を使っていない」と答えた生徒も相変わらず減少しない現状があり、こういう面からも準備運動の必要性を十分に理解させ、安全教育の充実が望まれる。 ? おわりに
このように、4つの観点から魅力ある運動部活動について考察を試みてきた。生涯体育・スポーツを考える上で、過去にはとかく競技力の向上だけを目的にし、生徒の願いや健康面についての配慮に欠ける部分があったが、指導者の育てるという意識の向上により、成長期である生徒に対して十分に配慮しながら練習日程や練習内容を決定していかなければならないという認識が定着しつつあるように感じられた。「将来も部活動を続けますか」という質問に対して、約3割の生徒が「同じ種目を続ける」と答えている。さらに「違う種目」を希望する約2割の生徒をあわせると、半数に達し生涯体育・スポーツの観点からみれば、評価に値するであろう。 ?将来も今の種目を続けますか? 
「違う種目」への変更を希望している生徒に着目すると、ひとつの種目に打ち込むことにより別の面での自己の適性を見出したものや、今の種目からの逃避意識のある生徒もいると予想される。それらの生徒も含め「文化的な活動」を指向する生徒や「わからない」と答えた生徒に対して、日常の活動での興味づけや個々の持つ潜在能力の可能性を示唆しながら、将来的な展望を持たせる配慮も必要になるであろう。 また、「わからない」という回答に対しては、現段階では分析しにくいが、この中にも「同じ種目を続ける」意志のある生徒があることは予想され、この内部把握や今後の指向に対する調査研究がこれからの課題ともなってくる。 中学生にとって部活動は、大半が初めての体験であり、どの学校も仮入部期間は設けているものの、個々の生徒が必ずしも自己の能力や適性に見合った部の選択をしているとは限らない。また、心身の発達・家庭環境・友人関係など、様々な内的不安定な状況があり、たいへん意志の移ろいやすい時期でもある。そういう時期であるからこそ、ひとつの運動部活動を体験することにより、その活動の深化・充実をはかり、その中から他のスポーツヘの派生、文化的な活動への展開など、様々な可能性や方向性を考えさせたい。 魅力ある運動部活動を目指すことは、つまり生涯体育・スポーツを目指すことにつながっていく。そのためには、指導者と生徒が一体となり、生徒の部活動への参加意識を明確にさせながらスポーツの楽しさや喜びを個々に応じて味わうことのできる指導が求められているように思われる。 今後は、さらに「魅力ある運動部活動を目指して」様々な角度から、具体的に掘り下げ研究していきたい。
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